お正月になると、人間は不思議な能力を手に入れる。
それは「予定が何もなくても不安にならない力」だ。
普段なら、
「今日何もしてない…」
「この時間、もったいなくない?」
と自分を責め始めるのに、正月だけは違う。
朝起きる。
とりあえず餅を焼く。
気づいたら昼。
もう一度餅を焼く。
これだけで一日が成立する。
しかも達成感すらある。
テレビをつければ、
去年見たような番組を今年も見て、
「やっぱりこの流れだよね」と妙に安心する。
初詣では、
お願い事の内容が毎年ほぼ同じで、
自分の成長の遅さに一瞬気づくが、
「まあ来年でいいか」と即座に忘れる。
そして正月3ヶ日が終わる頃、
なぜかこう思う。
「ちょっと休みすぎたかも」
でも大丈夫。
この“何もしなかった時間”は、
ちゃんと心のどこかに貯金されている。
お正月とは、
一年分の力を抜く練習期間。
また動き出すために、
人はときどき、
こたつと一体化する必要があるのだ。
コラム2026.01.09


