人付き合いが苦手で力仕事もダメ、そのうえ朝も起きられず遅刻ばかりの男に出来る仕事なんてあるのでしょうか。

 

ところがそんな男にピッタリの仕事がありました。出勤は午前10時、何も持たないでよく、しゃべる必要もなく、昼食・昼寝付き1日1万円という好条件。勇んで向かった先は動物園でした。彼の仕事は死んでしまった目玉動物のトラの代わりに、その毛皮をかぶってトラになりすませというものだったのです。簡単な説明を受け檻の中に入った男はトラなのに子供にパンをねだったり、タバコを吸おうとしたりとドタバタながらもなんとかバレずに済んでいます。そんな中、園内にアナウンスの声が響きます。「ただいまからトラとライオンによる世紀の猛獣ショーを始めます。みなさん、トラの檻の前にお集まりください」そんなこと聞いていなかった男は慌てました。目の前にはうなり声をあげるライオンの姿。仕切りが外されるとライオンが飛び込んできました。一巻の終わりと観念するトラの耳元でライオンが「心配するな、わしも1万円で雇われたんや」。

 

おなじみの「動物園」という落語ですが、来園者を欺いて金儲けを企てることは現実の社会でもあるようです。中国の動物園がオオカミの代わりに犬を展示していたことが判明し、多くの失笑を買っているというニュースがありました。

 

中国・湖北省咸寧市にある香吾山動物園で、「オオカミはコチラ」と書かれた案内板の前の檻にいたのは、オオカミとは似ても似つかない大型犬のロットワイラーだったのです。関係者によりますと「オオカミが高齢で死んでしまったため、ちょうど飼育場所がなくて困っていた番犬を入れた」そうですが、シェパードやシベリアンハスキーなど耳がピンと立ち豊かな毛皮の太い尻尾をもつオオカミに似た外見の犬ならまだしも、垂れ耳で短毛、尻尾も細いロットワイラーをよくもぬけぬけとオオカミに仕立て上げたものです。いかに偽物天国の中国でもここまで違うと一目でオオカミではないとバレてしまいました。

 

中国ではちょくちょく同様のケースが発生しています。2017年に広西チワン族自治区でペンギンの囲いの中にいたのはビニール風船でできたペンギンでしたし、2013年には河南省でアフリカライオンの代わりにチベタン・マスティフという大型犬が展示されていたことがありました。この犬は毛も長く色もライオンによく似ていましたので騙される見物客もいたようですが、それでもやはり犬は犬。「ワン」と吠えたことでバレてしまいました。

 

落語「動物園」のトラやライオンは本物の毛皮を被ってのなりすましですが、それに比べると中国のなりすましのなんと雑なことか。しかし、笑いの量が多いのは間違いなく中国の「動物園」の方でしょう。

 

スタッフK.Y

 

引用ニュース:死んだオオカミの代わりに犬を檻に入れて展示 中国の動物園に失笑<動画あり>