お寿司屋のお茶(あがり)はとても熱いですよね?
重いし、なかなか冷めないし、猫舌の人はなかなかお茶を飲めなくて困った経験はありませんか?実は湯飲みは重く、お茶は熱いのには理由があるのです。

お寿司の大半は生の魚を楽しむお料理です。お寿司を食べていくと、どうしても口の中に魚の味が残ってしまいます。とくに脂がのったトロなどを食べると、口の中は脂っぽくなります。そんな状況では次に食べるお寿司の味が半減してしまいますよね。
そこでお寿司屋さんでは、次の新しいお寿司を食べる前にお茶を飲んで舌に残った魚の味や脂を洗い流してもらうため、大きな湯飲み茶碗に熱いお茶をたっぷりと入れて提供しているそうです。
この、大きな湯飲み茶碗でお茶を出す提供方法は、明治時代に屋台のお寿司屋さんから始まったと言われています。屋台では一人で店を切り盛りする為に、たっぷり入る大きな湯飲み茶碗を使って、何度もお茶を出す必要がないよう工夫をしたようです。
厚みがあって大きな湯飲み茶碗は、中のお茶が冷めにくいというメリットもあります。
そんなこともあって、今のお寿司屋さんにも継承されているわけです。

お茶がぬるいと、お客さんはついついお茶を飲み過ぎて、肝心のお寿司を食べられなくなりますよね。お茶でお腹が一杯にならないように、というお寿司屋さんの事情もあるようです。

ちなみに、お寿司屋さんの多くでは、「粉茶」という粉末状の茶葉に湯を注いで出していますが、なぜ粉茶を使うのかご存じですか?

粉茶に熱湯を注いでお茶を作りますが、まず手間と時間がかからないというメリットがあります。そしてお寿司の味を不味くさせないという利点があります。
実は玉露等の良質な煎茶はテアニンという甘み成分を多く含みます。これが味覚を麻痺させてしまい、お寿司の味を損ねてしまうのです。タンニンの渋みだけを含むお茶がお寿司と相性が良いので、粉茶がよく使われます。

「お寿司を美味しく食べるのに高級なお茶は必要ない」なんてちょっと面白いですね。

債権管理課 安田