皆さんロシア民話の「大きなカブ」と言うお話はご存じですか?
半世紀以上も前に小学校の教科書に登場して以来、今も消える事なく、日本の教育に貢献しているすごい作品です。
どんな話か覚えていますか?
お爺さんがカブの種を撒く所から始まります。時は流れ、やがて大きなカブに育ったのでお爺さんは抜こうとします。ところがどれだけ引っ張っても抜けません。お婆さんが後ろからお爺さんを引っ張るも抜けません。お婆さんの後ろをお孫さんが、お孫さんの後ろを犬が、犬の後ろを猫が、猫の後ろをネズミが引っ張って「とうとうカブは抜けました。めでたし、めでたし」と皆で協力する事の素晴らしさを説いたお話です。
最後に一番非力で小さなネズミの力をもって目標(カブを引き抜く)の達成を呼んだという結末には感動すら覚えます。映画化すれば今年最高の感動となり、クライマックスは皆がちむどんどん。全米が震え、全米が泣く事でしょう。

しかし、なぜカブはなかなか抜けなかったのでしょうか?
孫、犬、猫、ネズミの前に成人の息子か娘が手伝えば抜けたのでは?と邪推するのは今回控えます。

カブが抜けなかった一番の原因はお爺さんがカブを育て過ぎたからでしょう。このイラストを見ると、カブの大きさはお店で売っている一般的なカブの20倍はありそうです。縦、横、高さ全て20倍と推定すると重さは1トンくらいにはなるのではないでしょうか。もうここまでくると普通自動車と変わらない重さですよね。お爺さんが大事に育て過ぎた感が半端ないです。某サッカー選手もびっくりの半端なさです。

そして問題の抜き方です。
再度イラストを見てみましょう。カブの葉を引っ張るのはお爺さんでお婆さんはお爺さんを引っ張り、以下メンバーは前のメンバーを引っ張ります。全ての引く力はお爺さんの腕を通じてカブに働く事になります。
お爺さんは約1トンを引っこ抜く為の負荷に耐えながら葉っぱを離さず握れる握力の持ち主です。凄いのお爺さんですね。
でも、なぜ直列に並んでカブを後ろに引っ張ったのでしょうか?この引っ張り方だと葉っぱ以外の大半が土に埋まったカブは途中で折れてしまいます。
お爺さんに愛情込めて育てられたカブは知らぬ間に強靭さも身につけたのでしょう。折れても食べれば一緒かもしれませんが、折れずに抜けたのは結果オーライです。

周囲の土を掘って、皆で葉っぱを一枚ずつ持って上に引っ張る等、方法を工夫すればもう少し簡単に抜けたのではないかと思れます。
皆で協力する事、達成する喜びの大切さを伝える「大きなカブ」は大変素晴らしい作品です。でも正しい方法で負担を分かち合う事を教えるのも大切なのではないか?と教えてくれています。

とらえ方や考え方を変えると色々な試練や教訓も見えてきます。面白いですね。