沖縄でもっとも有名な方言の一つに「なんくるないさ」があります。
沖縄を舞台にしたドラマでよく耳にしますが、「なんくるないさ」は単に「何とかなる」と言う楽観的見通しを意味する言葉ではなく、すこし深い意味があるそうです。

本来は「なんくるないさ」の前にくる言葉があり、
「まくとぅそーけーなんくるないさ」といいます。

人として
まくとぅそーけ=正しい事、真(誠)の事をすれば
なんくるないさ=何とかなるさ

『挫けずに正しい道を歩むべく努力すれば、いつか良い日が来る』という意味です。

この言葉には沖縄の歴史が関係しています。

1429年に統一王朝ができ、地理的な条件から隣の中国に寄り添っていた琉球王国。
それが、徳川幕府ができた頃から、薩摩藩(今の鹿児島県)から干渉され始め、薩摩藩の属国のような立場になってしまいました。琉球王国という体制は維持していたけど、薩摩藩に年貢を納めたりしなければなりませんでした。
中国に属国になったことがばれ戦争になってしまうことを恐れた琉球王国は「両属」と言って、どちらにもへり下って属国として振舞わざるをえなくなりました。
そして、明治維新の時に突然、琉球王国は沖縄県にされてしまいます。
琉球王国はなくなり、日本の一部になるのです。
日本の一部となってからは「日本人に近づく努力」をさせられます。
小学校では標準語を使わなければならず、うっかり沖縄の言葉で話せば、罰として首から『私は沖縄の言葉を話してしまいました』と書かれた札をぶら下げられたそうです。
昭和に入り太平洋戦争が勃発、沖縄が地上戦の舞台となります。
終戦後には、アメリカの統治下に置かれてしまうのです。
そんな環境の中、いつしか『まくとぅそーけーなんくるないさ』の言葉が生まれました。

今の時代、いろんな人の心に響く言葉だと思いました。