皆さんは「矛盾」という言葉はご存じですよね?

紀元前11世紀、楚の国に盾と矛を売る武器商人がいて、商人が盾を「この盾は頑丈で、これを貫けるものはない」と言った。また、矛を「この矛は鋭くて、貫けないものはない」と言った時に村人が「その矛で盾を貫いたらどうなるか?」と尋ねたら武器商人は答えることができなかったと言うお話です。
要するに、2つの宣伝文句の食い違いから、辻褄が合わない事が明るみになったお話ですが、本当はどうなるのか?同じく楚の時代で考えてみましょう。

「何でも貫ける矛」があるとすれば、それはこの世の中で最も頑丈な素材で作られており、なんでも貫けるくらい鋭利になっているはずです。10人以上の鎧をきた兵隊を一振りで鎧ごと体を真っ二つにしてしまうくらいの頑丈さも切れ味も合わせ持っている、まさに王騎将軍が持っていた矛がそれに該当すると思われます。

同じ様に考えると「何でも貫けない(防げる)盾」も、矛と同じ素材で作られてり、何で突かれても貫通しない厚みがないと簡単に破壊されてしまいます。

では、その最強の矛で、最強の盾を突くとどうなるのでしょうか?
素材に差がないのだから、勝負は形状によって決まることになります。「段ボールで作った矛VS段ボールで作った盾」というのと同じ問題になります。
三国志で見てみると、蛇甘平原の戦いも著雍(ちょよう)の戦いもでも盾は矛による攻撃を防いでいます。防げなければ死に直結し盾の存在価値はなくなりますからね。
防げた要因は形状と重さにあり、矛は人が持つのに太さや重さには限界があるのに対し、盾は持てさえすればよいので、より厚く、より重く出来ます。この結果、盾は矛に勝ってきたと思われるのです。
つまり「何でも貫ける矛」と「何でも防げる盾」の対決は、盾の勝ちになります。

もし、石川五右衛門さんの斬鉄剣と同じ素材で盾を作ったら、何でも斬れる斬鉄剣でも切れない盾が誕生しますので「つまらぬ物」は切れなくなるのです。

上弦の鬼さんも日輪刀の素材である猩々緋鉱石を扱えれば首が跳ね飛ぶ事は無かったかもしれませんね。