「そこはかとなく」という言葉をご存知でしょうか?

というのは、このコラムを書くとき、日本中が盛り上がっている「ラグビーワールドカップ」にちなんで、ラグビーの審判は“レフリー”だけど野球は“アンパイア”。その違いは何なのだろうとそこはかとなく思った・・・・・と書き始めて、ん、そこはかとなくって何となく使っているけどどういう意味なんだろう?
言葉の響きから、なんとなく意味を察することができるようなできないような・・・・・
まさしくそれが「そこはかとなく」(笑)

というわけで、今回は「そこはかとなく」について調べてみました。

「そこはかとなく」とは、「なんとなくはっきりしない、どことなく曖昧な」という意味の形容詞「そこはかとない」の連用形です。
「そこはかとない」を漢字で書くと「其処は彼とない」となります。「其処にいるのは誰だかわからない」ほど、曖昧ではっきりしない様子を表しています。

「そこはかとない」の語源は古く、平安時代から使われていました。『堤中納言物語』という平安時代後期以降に成立した物語集に「そこはかとなき物語しのびやかにして」という一節があります。この場合の「そこはかとなき」には、「とりとめのない」という意味があります。
鎌倉時代に書かれた『徒然草』の冒頭にも「徒然なるままに日ぐらし硯に向かいて心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くればあやしうこそ物狂おしけれ」とあります。こちらも「とりとめのない」という意味で使われています。

何となく、これだ!とは言えない、はっきりしない想い。そんな気持ちを伝える言葉として、できた言葉なのでは??
自分の中にこれだ!と言うものはないが何となく、ハッキリはしないが何となく、原因や理由があるわけではない。が、何となくそんな雰囲気があるさま。

「理由は特にありません」と答えるよりも、「そこはかとなく好きだったので」などと答えることで、否定のイメージから肯定のイメージに変わります。
断言して何もないというよりも、なんとなく・・・・・うまく説明できないけど・・・・・こうなんだと肯定するような答え方の方が角が立たなかったり、その場の雰囲気を丸くする効果がありますね。

スタッフ 久保田