(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

新年あけましておめでとうございます。
昨年はコロナ一色と言っても過言ではないほど私たちは未曾有の国難に直面し、全く想像していなかった生活様式となりました。
普段より在宅する時間が長くなった中で、昨年の上期は「半沢直樹」のドラマで、下期は大ブームとなった「鬼滅の刃」で胸が熱くなった方も少なくはないのではないでしょうか。
多くの人の心を引きつけ、社会現象にもなっている「鬼滅の刃」。「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」では、仲間を守るため、命を燃やす煉獄さんに涙した方も多いでしょう。
いわゆる「自己犠牲」です。自己犠牲は見るに美しくエモーショナルですが、行うことには時代錯誤感が否めません。アニメの中の鬼たちの組織は、現代で言うと超絶パワハラ組織です。鬼たちと戦う煉獄さんの属する鬼殺隊も、大義のための自己犠牲も致し方ないという組織です。日本の社会では、組織や大義のためなら、誰かの犠牲はやむを得ないという思考が少なからずですが、働き方改革が推奨されている現在の組織論でいえば、個人の犠牲を美談にすることなく、特定の誰かに犠牲や過剰な負担を押し付けないシステムを構築することが重要であり、超絶パワハラ組織は淘汰されていかなければなりません。
但、煉獄さんの場合は、母親に課された「ノブレス・オブリージュ」の精神で立ち向かう姿です。「ノブレス・オブリージュ」とは、劇中のセルフでも出てきますが、「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務」という精神です。「容疑者Xの献身」でも描かれた、愛する人を守るためなら、罪をも犯す無償の愛に類似した精神かもしれません。
当然ながら賛否両論はありますが、アニメや小説の中で「ノブレス・オブリージュ」が描かれると、人は少なからず感動し涙を流すことがあります。しかしながら、実際に目の当たりにすることは稀少で、私自身もそのような行動をしてきた自覚はありません。分かっていても、なかなか行動できないというのが実情ではないでしょうか。
コロナ禍で生活が一変し、様々な困難に遭遇されている方々が多数いらっしゃいます。まさに「ノブレス・オブリージュ」の精神で、誰もがそれぞれの煉獄さんになり、弱き人や困難に直面している人を助けられる行動ができたらいいですね。

トリプルクラウン管理本部 担当